一般社団法人全国私立大学教職課程協会
 
会長からごあいさつ

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小原 芳明(玉川大学学長)

 会長を務めることとなりました玉川大学の小原芳明です。5月28日に京都で行われた法人設立総会において、これまでの長い歴史を有する全国私立大学教職課程研究連絡協議会から7月1日をもって一般社団法人全国私立大学教職課程協会の設立が決議されました。 400を超える大学を会員とする新体制ですから、会長の他に副会長 2名、専務理事、業務執行理事(研究担当ほか)、理事計19名そして監事で運営をしていくことになります。副会長に北翔大学西村学長と久留米大学永田学長、専務理事兼事務局長は東京薬科大学の田子教授にお願いすることとなりました。法人本部は玉川大学に設置いたします。また現在ある 8つの地区団体との協力体制は継続しつつ、新たな関係を模索して参ります。さらに協会としては一般社団法人を発展させ、近い将来において公益社団法人化を目指しております。

 さて昨年末、中教審より文部科学大臣あて「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について ~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~ (答申)(中教審第184号)」が行われました。これによって、教員養成、採用、研修における今後の方向性が示されたことになります。この答申は大学、教育委員会そして学校が相互連携を図り、答申の内容に則した体制整備を求めています。大学と教育委員会との連携のなかで教育の現場が求める教員を養成するための育成指標や学び続ける教員を支援する研修プログラムを構築する教員育成協議会を全国的に展開していくことを示しています。教員を養成する大学にはこうした新たな課題にふさわしい教育組織の改善が求められています。道徳や新たにスタートする小学校英語は従来の教員養成では充分とは言えません。またICT を活用した教育にしても、それを実践するのにふさわしい準備が必要です。日進月歩おろか秒進分歩で進化する情報技術に対応した研究が避けられません。特別支援教育を充実していくには過去の経験値に基づくだけではなく、科学的な調査研究が重要となってきます。

 さらに大学生を対象としたアクティブラーニングにしても五里霧中にあるのに、これを幼稚園から導入できる教員を養成しなければなりません。いまは猫も杓子もそれこそアクティブラーニングですが、これは導入を間違えると新たなゆるみ教育となってしまいます。学校インターンシップを導入するにしても、それが教育実習への安易な抜け道とならないようにしなければなりません。そのためには全学を網羅する教職センターのような部署の設置が必要となります。協会の目的に 2年制、 4年制私立大学における教師教育の社会的責務とその重要性に鑑み、相互に研究を深め、連帯協力することによって開放制教育職員免許制度の下における教師教育の充実と発展に寄与することを掲げています。個々の大学が直面する教員養成の課題は複雑かつ多岐にわたっていますが、これは教員養成を行っている大学としては大きな改革課題となります。一方、大学全体の課題として単位の実質化をはじめ、 3つのポリシー※の定義といった大学教育の質保証の課題を抱えています。教員養成改革は大学教育の質保証の枠の中で達成していかなければなりません。こうした課題に取り組む大学を支援していくのが当協会です。また法人化することで任意団体ではできなかった私学が抱える問題点や課題を文部科学省へ申し入れることも可能となります。

 このような変革の時期に全私教協会長の重責を担うこととなりました。法人化により今後の教師教育並びに教員養成改革が効果的に進められるよう会員校の皆様には協力をお願いし、役員を代表して挨拶といたします。今後ともよろしくお願いいたします。

【平成28(2016)年6月記】

 ※アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー